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『私の知らない小五郎さんがまだ沢

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『私の知らない小五郎さんがまだ沢

『私の知らない小五郎さんがまだ沢山いるんやな。』

 

 

知らない所で知らないうちに,心を通わせて肌を重ねて交わってしまうのでは。

もうすでにそんな相手がいるのでは。

 

 

幾松の所へ行って帰って来ないのでは……

 

 

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「ん?」

 

 

「嫌です,他の人のとこ行ってしまうの嫌ですっ!」

 

 

この言葉を引き出せて桂は満足だ。

ねじ込んだモノを奥深くに突き立てた。

 

 

「んんっ!」

 

 

「行かないよ。」

 

 

『いつもいつも嫉妬してるのは私の方だ。三津がヤキモチを焼いた事があっただろうか。』

 

 

三津はいつも控え目だから,ヤキモチなんて焼かず,私なんて…”と一歩下がってそのまま身を退いてしまうんだ。

だからあからさまな嫉妬心を引き出せたのは歓びでしかない。

 

 

『足りないのは私への執着心だ。』

 

 

「行かないけどもし行ったらどうするの?」

 

 

ゆっくりと押しては引いてを繰り返して反応を伺った。

どう引き止めてくれるんだろうかと期待した。

 

 

「行っちゃうんですか?」

 

 

幾松さんの元へ

 

 

三津の両手が桂の頬へ伸びた。

求めるように包み込まれて,赤らんだ顔と潤んだ目でじっと見つめてくる。

 

 

ヤダヤダと子供のように駄々をこねても可愛いだろうなと思っていたのに,

 

 

「行ってしまうなら私は一生懸命小五郎さんの事を忘れます。」

 

 

涙ぐみながら声を震わせてそう言うのだ。

 

 

「どうしてそうなるかな?君って子は。」

 

 

さっき見せた嫉妬心はどこへ行った。そうじゃなくて行かないでとか離しませんとか言ってほしいのだけど,そんな事大人の男が言える訳ない。

 

 

『悲観的になったのは誰かと自分を比べたんだな。』

 

 

「どうしてそんなに自信がないの?今誰と自分を比べたの?」

 

 

何気なく問う振りをして頬から三津の両手をそっと外し布団に抑えつけた。それから胸に舌を這わせて行為を続けた。

 

 

こんな事で冷めてしまうのは嫌だったと言うのもあるけど,じっと目を見て問い詰めればきっと,もっと畏縮して自分と向き合ってくれない気がした。

 

 

「もっと我儘になりなさい。もっと私を困らせなさい。それぐらいしたって罰なんて当たらないさ。」

 

 

「小五郎さんの口から他の女の人の話なんて聞きたくないです

不安になるから。」

 

 

吐息混じりに弱々しくささやかな本音を伝えた。最後なんて消え入りそうなか細さで。

 

 

「他には?」

 

 

鼻先で首筋をくすぐって,耳元で次の言葉を要求した。

 

 

「むっ無理です!こんなんで言われへんっ。」

 

 

中で猛々しいモノが突き動かされて,加えて耳元で囁かれてるのにこんな状態で言葉なんか出て来ない。

 

 

「じゃあ後で聞かせて?」

 

 

楽にさせてあげると含みのある笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 

 

「私小五郎さんに我儘なんて言えません。」

 

 

今日も手加減してもらえなくて三津は少し不貞腐れながら桂の少し後ろを歩いた。

 

 

「もっと会いたいと言ってくれてもいいのに。」

 

 

桂も同じ様に不貞腐れた顔を作ってみせた。

 

 

「そんな事言えませんよ,お忙しいのに。私にとって桂さんが毎日無事に過ごせる事が一番なんです。」

 

 

「やっぱり三津は三津だね。」

 

 

この性格は直らないか困ったなと笑った。

 

 

……他の女の方々は会いたいと我儘言うんですか?」

 

 

「おや?ヤキモチかい?」

 

 

口を尖らせ目を伏せた三津の顔を覗き込みに行った。

 

 

「別に何でもありませんっ!」

 

 

「妬いてる?でも心配いらないよ。こんなに肌に三津の匂いが纏わりついてるんだ。そんな男誰も相手にしないよ。」

 

 

三津ははっとして両手で顔を覆った。

 

 

「私からも桂さんの匂いする。」

 

 

しっかりと染み付いている。どこからともなくふわりと香る桂の匂い。

この匂いは他の人にも分かるのか。

 

 

「これで帰ってからもしばらく幸せに浸れるんだ。」

 

 

桂が幸せそうに笑うから,三津も目尻を下げた。

帰ってからも包み込まれたままでいられる。

 

 

桂は三津の香りと幸せを持ち帰った。

 

 

『すっきりした顔してる。』

 

 

これでしばらくは機嫌が良いはず。伊藤はほっと胸を撫で下ろした。

 

 

「あんな清々しい顔されてると腹立つよね。三津も断ればいいのに。」

 

 

『こっちはしばらく機嫌悪い。』

 

 

吉田は伊藤の背後から,自室へ戻っていく桂の背中をじっとりと睨みつけてその場から離れた。人の幸せは楽しくない。

 

 

「本当に困った人達だ。」

 

 

「あぁ全くだ。」

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