忍者ブログ

debsy anime-navi

松原の言葉に、土方は眉を顰める

松原の言葉に、土方は眉を顰める。士道不覚悟として処断するようにという声が幹部内から上がったのは事実だ。しかし、土方はそれを押し止め、この処分にした。何かがきな臭いと睨んだのである。あまりにも発覚から噂の拡散までが早く、まるで何者かが手引きをしたような気持ち悪さが拭えなかった。

……良い。謹慎部屋に篭ってろ」

 

 行け、と土方が低い声で言う。松原は一度立ち上がろうとしたが、迷うようにその場に留まった。そして手を付くと畳に頭を擦り付ける。 廊下を出ると、そこには斎藤が立っていた。謹慎室へ案内する役割だと云う。

 

……斎藤はん。https://cutismedi.com.hk/expert/13/%E9%81%A9%E7%94%A8%E9%83%A8%E4%BD%8D%E5%8F%8A%E5%8A%91%E9%87%8F 四番組の隊士はどうやるんやろか。八番組にも巡察変わってもろてしまって……

 

「恐らく、他の組長が兼任するだろう。平助のことなら気にするな。江戸から帰ってきて時も経っておらぬ故、早く隊務に慣れる機会が増えたと喜んでいた」

 

 淡々と話す斎藤の背を見ながら、そうかと松原は小さな声で返した。

 

 

……あんたは、恐らく誰かに嵌められたのだ。他に事情を知るものはいないのか」

 

 その問い掛けに、松原の脳裏には桜司郎が浮かぶ。だが直ぐにその考えを打ち消した。

 

 

……ご温情痛み入ります。やけど、最後……最後にいっぺんだけ別れを言わして貰えへんやろか。子が、病に侵されとるんや」

 

 

 何度も何度も松原は頭を下げた。鬼気迫るそれに土方は息を呑む。だが首を横に振った。これで許してしまえば、何のために庇ったのか分からなくなる。

 

 

……分かり、ました。無理言って、すみまへんでした」

 

 松原は立ち上がると、廊下へ続く障子に手を掛けた。ふと思い出したようにその手が止まる。

 

「あの、巡察は……

 

「代わりに八番組に行かせる。四番組は引率者が決まるまで行かせられねえしな」

 

 あれは代わりとなる準備だったか、と視線を落とした。四番組の隊士にも、八番組にも迷惑をかけてしまったことやもうサエ達に会えなくなるという現実に打ちのめされる。らん。もし、誰かがワシを嵌めたとして、ワシが罪を犯したんは事実や。そいつの事を恨む気にもならんわ」

 

 

 謹慎部屋は屯所の中でも日の当たらぬ奥まったところにあり、二畳ほどしか無い。斎藤はその部屋の戸にあるを開けた。

 

……本当にあんたはお人好しだな。の妻子と会うことは許されぬが、大人しく謹慎していれば直ぐに隊務へ復帰できよう。あと、脇差を貸してくれ」

 

「何で脇差を?」

 

「自害の防止だ」

 

 その返答に松原は苦笑いをする。左腰から脇差を鞘ごと抜くと斎藤へ手渡した。

 

 

……腹を切るのも許されへんのかぁ。手厳しいやっちゃな」

 

「まだあんたに死なれるのは困る。副長の思いも分かってやってくれ」

 

 冗談や、と言いながら松原は部屋へ入る。斎藤はそれを見届けると戸を閉めた。

 

 狭いそこは格子窓が部屋の上部に付いているだけで、部屋の中には何も無い。まるで幼少期に閉じ込められた蔵のようだと身震いをした。

 

 

 松原はその場に座ると、目を瞑った。瞼の裏にぎるのは、大切にしていた四番組の隊士達から受けたよそよそしさ、桜司郎達のこと、サエとミチのことである。

 

 もはや醜聞により四番組の組長から外されてしまった自分に、居場所は無いだろう。

 

『お前は何でそう愚図なんや!ホンマに武家の子か!』

 

 ふと縁を切った筈の父親の声が聞こえた。目を固く瞑り、耳を塞ぐ。

 

 

……一人で居ると、余計なことばかり考えてもうてアカンなァ」

 

 ぽつりと呟くと膝を抱えた。そして過去を思い出すように目を瞑る───

 

 

 松原は

PR

コメント

プロフィール

HN:
No Name Ninja
性別:
非公開

カテゴリー

P R